実は、二十年ほど住宅設計にかかわり、三百軒以上の住まいを建ててきた私自身、いまだに鉄筋コンクリートや軽量発泡コンクリート板(ALC板)の住まいに確たる信頼を抱いてはいないのだ。おびただしい鉄筋のマンションや高層アパートが誕生している今日、私もまた鉄筋やALCの一戸建てを建てはするのだが、その実、さまざまな違和感や疑問を抱くことも多い。その一つに、住まいの中の空気の変化がある。私は医学や化学の専門家ではないので、具体的には指摘できないものの、感じとして、新築三、四年後までは、どうしても空気の乾きとセメントなどの特有のにおいが抜けない。
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コンクリート壁の表面に分厚い断熱材を張り、さらにその表面に木板やプラスター塗り仕上げをして、従来の木造の仕上げと同様の肌ざわりにしてみても、どうしても冬の乾いた空気と結露にはよい対策がない。子供たちは風邪、ぜんそくを起こしやすく、のどの痛みや肌のかさかさも感じる。この原因は、皮肉にも気密性がよすぎるためで、最近、多量に使われる新建材や接着剤に含まれるホルムアルデヒド、防腐剤などの揮発を遅らせ、長期間、人体をさらすことになりかねない。同様に、断熱材に対する過信にも問題があり、真夜中のコンクリート壁やALC板の冷えが明け方室内に到達し、冬の朝は芯から冷える。夏は、昼間の熱の伝達で、寝入りばなは暑くなるという逆効果にもなり、こうした新工法や新材料に対して、もっと生理学的なチェックが必要である。