一戸建てではまず、建て替えという方法を考えるべきであろう。なぜなら、買い換えにはやはり、“場所を移動する”というデメリットがあるからだ。もうそこに住みはじめて長い期間がたっていれば、近所とのおつきあいもあるはずである。PTAのつきあいもあれば、急ぎのとき、“奥さん、ちょっとお醤油貸して”というおつきあいもある。こうしたおつきあいも、一種の財産である。いわば“コミュニティ財産”とでも言おうか。買い換えとは、このような“コミュニティ財産”を捨て去って他へ移動することである。他へ移動したら、もう一度はじめから、この財産をつくり上げてゆかねばならない。あるいはお年寄りがいる場合。お年寄りは、建て替えにも拒否反応を示しがちだが、ましてや買い換えには、それにもまさる拒否反応を示すのが普通である。今の場所をはなれて他へ移動するなど、お年寄りには考えられもしないことなのだ。お年寄りだけでなく、子供でもそうだろう。折角、仲よしになった友だちと別れて転校することは子供にとっては大きな苦痛だし、さびしいことに違いない。むろん買い換えでも、子供に転校させないですむところへの買い換えの方法は不可能ではないが、それでは、新しい住宅の選択がきわめて狭い範囲に限られてしまうことになる。このように考えると、これまでの住まいが一戸建ての場合には、買い換えをするよりも建て替えをすることを優先的に考える必要がある。建て替えではどうしても住まいのグレードアップがはかれない、そんなときにはじめて買い換えを検討してみることである。
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